英国の「ゴネ得」は許さない――EUの迅速な反応

 イギリスは大陸ヨーロッパからはしばしば「不実のアルビオン」と揶揄される。アルビオンとは、ブリテン島に進軍したシーザーが白亜の岸壁を見て、「白い国」と呼んだことからきているといわれる。ラテン語のalbus(アルビュス)は「白い」という意味だ。イギリスの呼名である。
 ただし、外交的な意味ではイギリス外交の狡猾さと巧みさを表現したものである。ヨーロッパ大陸から一歩引いて「孤立主義」の名のもとに日ごろは無関心を装いつつ、大陸で国益に関わる場合には巧みに介入する。ある種のイギリス外交のご都合主義を皮肉を交えて表現したものである。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
渡邊啓貴(わたなべひろたか) 帝京大学法学部教授。東京外国語大学名誉教授。1954年生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程・パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校・ボルドー政治学院客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員教授、外交専門誌『外交』・仏語誌『Cahiers du Japon』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。最新刊に『アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年』(中公新書)がある。
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