ヨーロピアン・ラプソディ
ヨーロピアン・ラプソディ(3)

「移民との共存」は一筋縄ではいかない:英国「EU離脱」

大野ゆり子
執筆者:大野ゆり子 2016年7月1日
エリア: ヨーロッパ

 「Brexit (英国のEU離脱)は、まずあり得ないよ」。プライベートバンカーをしていて、英国ともつながりが深いスイス人の友人は、ほんの2週間前にこう言い切っていた。情勢の読みと分析が鋭い彼は、リーマンショックや、ユーロ危機でも顧客に損を出させなかった評判を持つ。そんな彼でも読み切れなかった今回の英国人の国民投票の結果は、大陸にいるヨーロッパ人の大半にとっては、「まさか」というのが正直なところだと思う。
 しかし今から思い出してみれば、昨年英国バーミンガム市を訪れたときに、今回の結果につながるような時代の変化の兆しは、空気の中に存在していた。EU離脱へと向かわせた英国民の不満は、見えないかたちで少しずつ沈殿していて、6月23日にマグマのように吹き出てきたということなのだろう。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子 エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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