小説・めぐみ園の夏

小説・めぐみ園の夏(10)

高杉良
執筆者:高杉良 2016年8月6日
エリア: 日本
GHQ占領下の当時、世の中は騒然としていたが……(C)時事

 

【前号までのあらすじ】

めぐみ園のコーラス部で、ボーイソプラノのエース格として活躍する亮平は、丸顔の可愛い感じの美人で明るいコーラス指導の小林先生に密かな憧れをいだくようになる。そしてクリスマス・イブに進駐軍キャンプのサージャーがプレゼントを持ってくると知り――。

 

第4章 クリスマス・プレゼント(承前)

 

   3

 

 12月24日は日曜日だった。亮平は気もそぞろで、午後3時頃から、“望の部屋”で門の辺りをずっと気にしていた。

「キャンプからジープが3台も来たぞ!」

 亮平の声に部屋中がどっとなった。亮平はとっくに仲間へプレゼントのことを明かしていた。

 4時の予定が30分ほど早まり、サージャンを筆頭とするキャンプからの訪問者は6名だった。いずれも軍服姿である。めぐみ園側は小濱理事長・園長夫妻、保母、作業員、園児たち約40名、総出で歓迎した。

 講堂にはクリスマスツリーが用意され、天井からつるした色紙や紙テープで作った鎖状の飾りが眼を引いた。

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執筆者プロフィール
高杉良
高杉良 1939(昭和14)年、東京生まれ。科学専門紙記者、編集長を経て1975年『虚構の城』で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得、綿密な取材によって徹底したリアリティにこだわった問題作、話題作を次々に発表している。主な作品に『小説 日本興業銀行』『労働貴族』『広報室沈黙す』『燃ゆるとき』『濁流』『金融腐蝕列島』『不撓不屈』『虚像』『第四権力』『小説ヤマト運輸』などがある。
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