逆張りの思考
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クルーズ船ビジネスへの疑問

成毛眞
執筆者:成毛眞 2016年9月1日
エリア: 北米 日本

 アラスカへ行ってきた。目的は船に乗って旅をする、クルージングだ。以前からクルージング愛好家の間で評判がいいので、1度行ってみたかったのだ。確かに素晴らしいところだった。アラスカを訪れるのは釣り人と野生動物ウォッチャーくらいなので、観光地として荒らされていないのだ。船はカナダのバンクーバーから乗ったのだが、しばらくはバンクーバー島という九州に匹敵するほどの巨大な島と本土との間の海峡を往くので、ベタ凪でじつに快適だった。気温は氷河の近くで10度前後。風が吹くとその数字よりかなり寒く感じるので、ダウンジャケットは必須である。
 夏休みということもあり、船には子供の姿も多く見られた。クルージングはなぜか高齢者のものと思われているが、もっと若いうちから親しめばいいと思う。たとえば、アメリカ出張の帰りに1週間休暇を取って、アラスカに行く船に乗ってみるという楽しみ方もいいのではないか。バンクーバーを土曜日に発ち、翌週の土曜日に戻ってくる船もあるし、料金はそれほど高くない。そこには、食事代も含まれているから安心ではないか。ただし、アルコール代だけは別なので、飲みたい人は別予算が必要だ。ただ、それもべらぼうに高いわけではない。
 船に乗っているだけでは退屈ではないかと聞かれることもあるが、そんなことはない。太平洋や大西洋を横断するような長距離クルーズでもない限り、毎朝、どこかの港に入り、夕方出港し、また次の港を目指すからだ。
 港に着くとたいてい、エクスカーションに参加することになる。エクスカーションとは小遠足のことで、地元で営業している日帰りツアーに参加するのだ。なので、港周辺を散策するというよりは、港から少し離れた、その辺りで一番有名な観光地へ出かけることが多い。神戸港に着いたら、朝から日帰りで京都観光を楽しむといった具合だ。アラスカの場合は観光地を巡るというよりは、適切な場所まで移動し、水面を滑走するジェットボートなどを楽しむことができる。十分遊んだら一目散に船に戻る。それなりに汗をかいているのでシャワーを浴びたいし、お腹がすいているので食事をしたいからだ。つまり、港でじっくりお土産を物色する時間などない。

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執筆者プロフィール
成毛眞
成毛眞 中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年マイクロソフト株式会社に入社。1991(平成3)年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。さまざまなベンチャー企業の取締役・顧問、早稲田大学客員教授ほか、「おすすめ本」を紹介する「HONZ」代表を務める。著書に『本は10冊同時に読め!』『日本人の9割に英語はいらない』『就活に「日経」はいらない』『大人げない大人になれ!』『ビル・ゲイツとやり合うために仕方なく英語を練習しました。 成毛式「割り切り&手抜き」勉強法』など(写真©岡倉禎志)。
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