小説・めぐみ園の夏

小説・めぐみ園の夏(11)

高杉良
執筆者:高杉良 2016年8月27日
エリア: 日本
GHQ占領下の当時、世の中は騒然としていたが……(C)時事

 

【前号までのあらすじ】

クリスマス・イブの催しにむけて、めぐみ園ではコーラス部が結成された。亮平は部長の小林先生に惹かれ練習に精を出すが、イブの翌日、園長の次男・英と恋仲であることを知り大きくショックを受ける。母と秋葉のことを思い出したのだ。春になり、亮平は卒業式を迎えた。短くも濃密な薬円台小学校での時間が終わった。

 

第5章 旧友たちの来園

 

   1

 

 昭和26年4月、杉田亮平は二宮中学校の1年生になった。

 亮平、久保田勝、石橋太郎のめぐみ園3人組はクラスが別れ、1年1組は亮平1人だった。

 入学式から1週間後の放課後、亮平はクラス担任の稲垣富子に音楽教室に呼ばれた。稲垣は音楽専任の教師だ。二重瞼の優しい目をした、ふくよかな面立ちで、亮平は好きになれると思った。年齢は34、5歳だろうか。

「先生は杉田君を頼りにしているんですよ。級長になってもらえないかな。実は杉田君以外に当てはないの」

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執筆者プロフィール
高杉良
高杉良 1939(昭和14)年、東京生まれ。科学専門紙記者、編集長を経て1975年『虚構の城』で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得、綿密な取材によって徹底したリアリティにこだわった問題作、話題作を次々に発表している。主な作品に『小説 日本興業銀行』『労働貴族』『広報室沈黙す』『燃ゆるとき』『濁流』『金融腐蝕列島』『不撓不屈』『虚像』『第四権力』『小説ヤマト運輸』などがある。
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