小説・めぐみ園の夏

小説・めぐみ園の夏(13)

高杉良
執筆者:高杉良 2016年10月1日
エリア: 日本
GHQ占領下の当時、世の中は騒然としていたが……(C)時事

 

【前号までのあらすじ】

恩師の高橋先生が市川小学校時代の同級生を引き連れ、突然めぐみ園を訪れた。2時間ほどのつかの間の邂逅だったが、亮平は彼らの優しさに強く感動する。持参された土産は亮平の配慮で園内で分けられ、自身も念願の英和辞典を貰った。亮平の存在が、“奥”に支配されていためぐみ園の雰囲気を変えつつあった――。

 

第5章 旧友たちの来園(承前)

 

   4

 

 突然の再会から1週間後の12日の土曜日にも、下山久彦と芝崎昇の2人がめぐみ園に現れて、杉田亮平を驚かせた。お土産のお菓子も一杯持参してくれた。

 定岡信夫が気を利かせて、“望(のぞみ)の部屋”の園児たちを別の部屋へ連れ出してくれた。

「また杉田に逢いたくなったんだ」

「それもあるけど、用事もあるんだよ」

 下山と芝崎は顔を見合せて、にんまりした。

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執筆者プロフィール
高杉良
高杉良 1939(昭和14)年、東京生まれ。科学専門紙記者、編集長を経て1975年『虚構の城』で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得、綿密な取材によって徹底したリアリティにこだわった問題作、話題作を次々に発表している。主な作品に『小説 日本興業銀行』『労働貴族』『広報室沈黙す』『燃ゆるとき』『濁流』『金融腐蝕列島』『不撓不屈』『虚像』『第四権力』『小説ヤマト運輸』などがある。
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