饗宴外交の舞台裏 (222)

「おもてなし」でも治せなかった比「ドゥテルテ大統領」の暴言癖

執筆者:西川恵 2016年11月24日
「暴言を止める」と言ったのも「冗談」だったらしい(C)時事

 

 フィリピンのドゥテルテ大統領。三笠宮崇仁さまの逝去と重なったため、天皇陛下との面会はかなわなかったが、訪日期間中の「おもてなし」を、親日家として十分に満喫したようだ。

 

中国との綱引き

 同大統領は10月18日から4日間、中国を訪問し、続いて25日から27日まで日本を初訪問した。最初は日本訪問が先に決まっていたが、中国が割り込んだ。習近平国家主席は同大統領を厚遇し、フィリピンに対して90億ドルの融資を約束し、バナナなどにかけていた関税撤廃も決めた。南シナ海問題で懐柔を図ったのは明らかだった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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