小説・めぐみ園の夏

小説・めぐみ園の夏(19)

高杉良
執筆者:高杉良 2017年1月8日
エリア: 日本
GHQ占領下の当時、世の中は騒然としていたが……(C)時事

 

【前号までのあらすじ】

勢いで小岩行きを断ってしまった亮平だが、心は揺れていた。姉弟の幸せ、稲垣先生への想い、そして自分の未来――。迷った末に、目黒の伯父へ電話で相談を持ちかける。同じ頃、めぐみ園の”お母さん”こと小濱守見子が町会議員へ立候補するという噂が――。

 

第7章 我が師の恩

 

   1

 

 杉田三郎が2度目にめぐみ園に来た日の深夜、亮平は異常、異様な体験に悩まされた。他人の手に下腹部をまさぐられ、おちんちんを掴まれたのだ。

 小学6年生の時には仰臥できていた上段のベッドは、中学生になって身長が伸びてきた亮平には窮屈になっていた。ちぢこまって横向きに眠ることが多かった。長方形の箱のように木で枠を囲った狭いベッドだ。

 懐中電灯の灯の輪をぼんやりとらえた時に頭の中がはっきりしてきた。

「“お母さん”なんですか」

「起こしちゃって、ごめんよ。亮平は病み上がりだし、寝相が悪いから、様子を見にきたの」

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執筆者プロフィール
高杉良 1939(昭和14)年、東京生まれ。科学専門紙記者、編集長を経て1975年『虚構の城』で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得、綿密な取材によって徹底したリアリティにこだわった問題作、話題作を次々に発表している。主な作品に『小説 日本興業銀行』『労働貴族』『広報室沈黙す』『燃ゆるとき』『濁流』『金融腐蝕列島』『不撓不屈』『虚像』『第四権力』『小説ヤマト運輸』『最強の経営者 小説・樋口廣太郎―アサヒビールを再生させた男』(プレジデント社)などがある。
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