韓国「弾劾列車」の終着駅(上)前大統領逮捕に結びついた「2人の裏切り」と「56冊の手帳」

平井久志
執筆者:平井久志 2017年4月7日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: 朝鮮半島
3月31日、ソウル中央地裁から拘置所に移送される朴槿恵前大統領(右から2人目) (c)EPA=時事

 

 韓国のソウル中央地裁は3月31日未明に、検察当局が収賄容疑などで請求していた朴槿恵(パク・クネ)前大統領への逮捕状を発付した。朴前大統領はすぐにソウル拘置所に収監された。拘置所へ向かう車中の朴前大統領は、疲労と、逮捕への怒りと、空しさが混じったような表情だった。2013年2月に韓国初の女性大統領として就任した時の華やかさとは対照的な光景だった。

 韓国では1995年に軍刑法上の反乱首謀、刑法上の内乱、収賄容疑で逮捕された盧泰愚(ノ・テウ)、全斗煥(チョン・ドゥファン)両元大統領に続いて大統領経験者で3人目の逮捕だ。

 ソウル中央地裁は逮捕状発付について「主要な容疑が疎明され、証拠隠滅の恐れがあり、逮捕の必要性がある」と判断した。

 1995年の全斗煥、盧泰愚両元大統領の逮捕は、全元大統領は退任7年後、盧元大統領は退任2年後で、既に政界に影響力をほぼ失った後だった。しかし、朴槿恵大統領は憲法裁判所の決定で3月10日に罷免されてわずか3週間後だった。与党・自由韓国党(セヌリ党から改称)内に朴槿恵大統領を擁護する「親朴派」が大きな政治力を保持した状況下での逮捕だった。

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執筆者プロフィール
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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