朝鮮半島有事「最悪事態」のイメージ共有せよ

執筆者:林吉永 2017年5月8日
エリア: 北米 アジア
かつては日米共同で「在外邦人輸送訓練」も行われていたが(2004年、築城基地) (c)時事

 

 現在、北東アジアの安全保障の破綻、「朝鮮半島有事」が危惧されている。軍事力は、「生存圏拡大」のためのターゲットに対して「我の意思を強要する」国家規模の暴力装置と言われる。それでは、軍事力で脅し、怯(ひる)ませ、要求を呑ませようとする「北朝鮮の意思」はどのような現実をもたらすのか。

「楽観論」と「悲観論」

 大別すれば、「金王朝自らの滅亡を招く攻撃行動は起きない」という「楽観」と、「戦争を仕掛け、一泡吹かせ、停戦に持ち込み有利な決着を図る」北朝鮮の手前勝手で最悪の行動を予想する「悲観」がある。楽観論に比べて「最悪」と「悲観」に基づく思考は、「被害の局限」を想定させ「抑止の手立て」の必要性が導かれる。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
林吉永(はやしよしなが) はやし・よしなが NPO国際地政学研究所理事、軍事史学者。1942年神奈川県生れ。65年防衛大卒、米国空軍大学留学、航空幕僚監部総務課長などを経て、航空自衛隊北部航空警戒管制団司令、第7航空団司令、幹部候補生学校長を歴任、退官後2007年まで防衛研究所戦史部長。日本戦略研究フォーラム常務理事を経て、2011年9月国際地政学研究所を発起設立。政府調査業務の執筆編集、シンポジウムの企画運営、海外研究所との協同セミナーの企画運営などを行っている。
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