国際人のための日本古代史 (87)

世界遺産「沖ノ島」で改めて注目される「海人」のネットワーク

執筆者:関裕二 2017年6月8日
タグ: 国連 日本
エリア: アジア
沖津宮で行われる5月の大祭(筆者撮影)

 

 宗像大社は宗像三女神を祀る3つの宮からなる。市杵嶋姫神(いちきしまひめのかみ)を祀る辺津(へつ)宮(宗像市田島)、湍津姫神(たぎつひめのかみ)を祀る中津宮(筑前大島。本土から約10キロ沖合)、田心姫神(たごりひめのかみ)を祀る沖津宮(沖ノ島。大島から約50キロ沖合)だ。

 宗像大社は海の民の重要な拠点だった。古代の辺津宮周辺には「港湾」となる入り江が存在したし、沖の2つの島(宮)は、外洋を航海する船の止まり木の役割を果たした。その中でも、神の宿る沖ノ島が特別視され、4世紀後半から約500年間、国を挙げての祭祀が執り行われた。大量の奉献品が残されたことから、「海の正倉院」とも呼ばれている。原則として一般人は立ち入ることはできないが、1年に1度だけ参拝できる(抽選)。日本海海戦(1905年5月)が沖ノ島近海で勃発したことにちなんでの慰霊祭である。

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カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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