陸幕長「引責辞任」でも自衛隊の名誉回復にはならない

執筆者:林吉永 2017年7月27日
エリア: アジア
就任からわずか1年で辞任することになった岡部俊哉陸上幕僚長 (C)時事

 

 陸海空自衛隊には、それぞれの戦い方、装備によって個性的文化が育ち、それは国際的な共通認識でさえある。陸上自衛隊(以下「陸自」)は、歩兵を主力に陸上戦闘を専らとする特徴から、「用意周到動脈硬化」と言われる(2016年9月27日「南スーダン『駆けつけ警護』と陸上自衛隊の文化」参照)。

 陸自では、諸計画を「用意周到」に作成し、日々、毎時、毎分にいたるまで任務遂行に万全を期して、命令が末端の隊員まで厳しく徹底され、個人の勝手な判断と行動が戒められている。他方、緻密で用意周到な計画に基づく任務付与は、想定外の状況変化に遭遇した場合、「とっさの適応が苦手」という「動脈硬化」を起こし易い。

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執筆者プロフィール
林吉永(はやしよしなが) はやし・よしなが NPO国際地政学研究所理事、軍事史学者。1942年神奈川県生れ。65年防衛大卒、米国空軍大学留学、航空幕僚監部総務課長などを経て、航空自衛隊北部航空警戒管制団司令、第7航空団司令、幹部候補生学校長を歴任、退官後2007年まで防衛研究所戦史部長。日本戦略研究フォーラム常務理事を経て、2011年9月国際地政学研究所を発起設立。政府調査業務の執筆編集、シンポジウムの企画運営、海外研究所との協同セミナーの企画運営などを行っている。
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