軍事のコモンセンス (26)

軽視されてはならない「兵站」の重要性(上)

執筆者:冨澤暉 2017年7月29日
エリア: 北米 アジア
「ブルドーザーで太平洋を制した」と言われるマッカーサー元帥は、兵站の重要性をよく理解していた (C)時事

 

 前回の「情報」に続いて「兵站」について述べたい。

兵站とは何か

 広辞苑には「兵站:作戦軍のために、後方にあって車両・軍需品の前送・補給・修理、後方連絡線の確保などに任ずる機関」と書いてある。すなわち兵站業務を行う機関を「兵站」というのが正しいのだが、筆者たちはその機関と業務の両者を一体のものとして「兵站」と呼ぶことが多い。英語では「Logistics」と言い、民間会社でも「ロジ」という言葉が結構使われている。

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執筆者プロフィール
冨澤暉(とみざわひかる) 元陸将、東洋学園大学理事・名誉教授、財団法人偕行社理事長、日本防衛学会顧問。1938年生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。米陸軍機甲学校に留学。第1師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監を経て、陸上幕僚長を最後に1995年退官。著書に『逆説の軍事論』(バジリコ)、『シンポジウム イラク戦争』(編著、かや書房)、『矛盾だらけの日本の安全保障』(田原総一朗氏との対談、海竜社)。
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