マネーの魔術史 (15)

中央銀行を巡る思想上の対立

執筆者:野口悠紀雄 2017年9月7日
エリア: 北米 ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 第13回で述べたように、アメリカでは、中央銀行が2度も挫折している。その後は、第14回で述べたように、フリーバンキングの時代が30年間も続いた。

 ヨーロッパで中央銀行制度が整備されていったまさにその時代に、なぜアメリカはそれと異なる道を選んだのか?

 この背景には、フェデラリスト(連邦派)とリパブリカン(共和派)の政治思想の戦いがある。

 フェデラリストは、初代財務長官となったアレグザンダー・ハミルトンやジョン・アダムスが率いた党派だ。強い陸軍と海軍を持つ国家を目指し、国家財政については、健全な基盤造りを推進した。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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