難民問題とドイツ(6)メルケル「失言」報道で見せた「スイス紙」の見識

執筆者:佐瀬昌盛 2017年10月18日
エリア: ヨーロッパ 中東
トルコ・エルドアン大統領(右)を前に、“失言”をしてしまったメルケル首相 (C)AFP=時事

 

 2017年2月17日に行われたミュンヘンでの「国際安全保障会議」より2週間ほど前の2月2日、メルケル首相はトルコを公式訪問していた。会談相手はレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とビナリ・ユルドゥルム首相であったが、大統領との会談でメルケル首相はちょっとした失敗をやらかしてしまった。

「イスラムのテロ」発言

 同日にテレビ局『ドイチェ・ヴェレ』が報じたところによると、エルドアン大統領はメルケル首相が膝詰め会議中に「イスラムのテロ」という表現を使ったのをいちはやく捉えて、これに異を唱えた。イスラムとテロとは何の関係もない、と言うのである。大統領に言わせると、「イスラムが意味するところは、平和だ」とのこと。「イスラム教徒である大統領」として、自分はイスラムとテロを結び付けるような表現を認めるわけには参らぬ、と大変な剣幕である。やむなくメルケル首相は、ドイツでの反テロリズム闘争ではドイツ在住イスラム教徒との緊密・強固な団結があると弁解せざるを得なかった。そして口を酸っぱくして、ドイツではいかに自国市民と在住トルコ人が協力し合っているかを力説せざるを得ない羽目に陥ったのである。

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執筆者プロフィール
佐瀬昌盛 防衛大学校名誉教授。1934年生れ。東京大学大学院修了。成蹊大学助教授、防衛大学校教授、拓殖大学海外事情研究所所長などを歴任。『NATO―21世紀からの世界戦略』(文春新書)、『集団的自衛権―論争のために』(PHP新書)など著書多数。
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