ドイツ「大連立」を見守るフランスの「不安」と「期待」

ドイツ政治の行方がフランス、そしてEUの将来を左右する(左からメルケル独首相、マクロン仏大統領) (C)EPA=時事

 

 ドイツで、大連立政権誕生の可能性が強くなった。社会民主党(SPD)は11月23日から24日にかけての8時間に及ぶ執行部会議で、アンゲラ・メルケル首相率いる保守派与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と、大連立政権樹立のための交渉を開始することになったのだ。

ドイツの国内政治が収拾される見込みが立って、欧州統合は辛くも危機回避の公算が強くなった。23日にはマルティン・シュルツSPD党首が、同党出身のフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領の呼び出しに応じ、大連立政権への参画の説得工作が試みられていた。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴(わたなべひろたか) 帝京大学法学部教授。東京外国語大学名誉教授。1954年生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程・パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校・ボルドー政治学院客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員教授、外交専門誌『外交』・仏語誌『Cahiers du Japon』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。最新刊に『アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年』(中公新書)がある。
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