マネーの魔術史 (33)

第1次世界大戦もマネーの戦いだった

(C)AFP=時事

 

 1914年7月に第1次世界大戦が勃発。戦争は当初の予想を超えて長期化し、大量殺戮兵器の出現によって一般市民もまきこまれ、未曾有の犠牲と被害がもたらされた。

 戦争の勃発とともに、ドイツ、フランス、イギリス、オーストリアなどの参戦国は、金本位制から離脱した。

 1918年11月、ドイツとオーストリア・ハンガリーが敗れ、大戦は終結した。

 この大戦は、日本から離れたヨーロッパ大陸を戦場として行われたため、日本人の感覚では、必ずしも歴史上の大事件としては捉えられていない。しかし、ヨーロッパの人々から見れば、ある意味では第2次世界大戦よりも大きな事件だった。なぜなら、この大戦によって、それまでの世界秩序が決定的に破壊されたからだ。ドイツでは、すべての王侯貴族が追放された。オーストリアでは、600年以上にわたって君臨してきたハプスブルク家が追放された。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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