岩瀬昇のエネルギー通信 (10)

「欠乏から余剰」の原油価格を左右する「需要ピーク」と「社会コスト」

執筆者:岩瀬昇 2018年1月23日
「カテゴリー別生産コストカーブ」(「BP」社の資料より、筆者提供)

 

 先日、都内某所で「2018年の原油価格見通し」のお話をさせていただいた。質疑の中で、100人くらいの聴衆の前方に座っていた方が「サウジアラビアの原油生産コストはいくらぐらいですか?」という質問をされた。

 筆者は、資料の一部としてお配りした英国エネルギー大手「BP」調査部門トップのスペンサー・デール氏が2015年10月に行った講演録『石油の新経済学』で紹介している、「カテゴリー別生産コストカーブ」のグラフを示して、次のように回答した。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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