マネーの魔術史 (36)

インフレで物々交換が行われるようになった

執筆者:野口悠紀雄 2018年2月1日
エリア: ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 第1次世界大戦後のドイツで、インフレが昂進すると、物々交換が行われるようになった。

 靴工場では賃金の代わりに靴を与え、従業員はそれをパン屋や肉屋で食べ物と交換した。

 より長期的な貯蓄のために、人々は必要のない物品を購入するようになった。1923年のアウクスブルク市の報告書によると、ひとりで自転車を6台も買ったり、ミシンを8台も買ったり、オートバイを買ったりしていた。ピアノも人気で、弾かない人たちもピアノを買っていたと、バイエルン州政府は記録している。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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