福島と京都の間で:古里の意味を問う「自主避難者」の旅(上)

執筆者:寺島英弥 2018年2月28日
タグ: 国連 日本
エリア: アジア
桃山御陵駅前から近い町屋の「みんなのカフェ」。福島の味を伝える店であり、京都への避難者をつなぐ「みんなの手」の活動の本拠。代表の西山祐子さん(右)が切り盛りする=2017年2月26日、京都市伏見区.(筆者撮影、以下同)

 

 京都市伏見を再訪したのは2017年2月26日。まだ冬のさなかの東北と違い、京都は梅が咲き誇る早春の候だった。東日本大震災の被災地を毎年応援している「もっと広がれ支援の輪from伏見」という地元の労働組合、市民らのイベントに3年ぶりに講演で招かれ、「大震災から6年 何も終わらない東北の被災地」との題で現状を報告させてもらった翌日、足を運んだ場所がある。近鉄・桃山御陵駅前の踏切を渡り、にぎやかな大手筋商店街のアーケードをくぐって両替町の小路を曲がると、その店は変わらず穏やかなたたずまいを見せていた。

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執筆者プロフィール
寺島英弥(てらしまひでや) ローカルジャーナリスト、尚絅学院大客員教授。1957年福島県相馬市生れ。早稲田大学法学部卒。『河北新報』で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)などの連載に携わり、東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)、『二・二六事件 引き裂かれた刻を越えて――青年将校・対馬勝雄と妹たま 単行本 – 2021/10/12』(ヘウレーカ)、『東日本大震災 遺族たちの終わらぬ旅 亡きわが子よ 悲傷もまた愛』(荒蝦夷)、3.11以降、被災地で「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。ホームページ「人と人をつなぐラボ」http://terashimahideya.com/
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