岩瀬昇のエネルギー通信 (22)

途上国向け「LNG取引」に食い込む「オイル・トレーダー」

執筆者:岩瀬昇 2018年3月7日
市場構造が変化する中、LNGのトレードはどう変わるのかを分析した記事(FTサイトより)

 

 1年半ほど前になるが、「戦略研究学会」が開催した「エネルギー市場の未来と日本の技術戦略」と題したシンポジウムの場で「『LNG市場戦略』は成功するか?」という報告をさせていただいたことがある。フォーサイトでも活躍されている池内恵先生が同会理事として企画にも関与された、学会員のみならず一般の人たちにも開放して設えたシンポジウムだった。

 所詮はサラリーマン卒業生の筆者には、「学会」レベルのお話などできない。そこで、2016年5月に九州で開催された「G7エネルギー大臣会合」で経済産業省が発表した「LNG市場戦略」を、筆者の原油市場での経験を踏まえて分析し、報告させていただいた。内容はレジメが印刷物となっているはずだが、結論だけ言うと、「ニーズに基づかない『LNG市場戦略』は実現困難」というものだった。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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