「人手不足」と外国人 (18)

ベトナム人留学生「『朝日新聞』配達」違法就労の「闇」(上)

執筆者:出井康博 2018年4月11日
エリア: アジア
ベトナム人ファット君は、2018年元日の『朝日新聞』を自転車で配達する(筆者撮影、以下同)

 

 2018年1月1日午前1時20分――。年が明けたばかりの東京・世田谷区の住宅街に、近隣の寺から除夜の鐘の音が響き渡っている。

 きれいな満月の夜だった。風はないが、気温は氷点下に近い。澄んだ空気が冷たく、自転車のハンドルを握る手が、軍手越しに痛んだ。

 普段であれば、人気の途絶える時間帯だ。しかし、この日は元日とあって、若いアベックらが駅へと向かい歩いている。初詣客のため、電車が徹夜で運行しているのだ。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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