岩瀬昇のエネルギー通信 (30)

ムハンマド皇太子が「言外」に匂わせた目標油価「80ドル」

精力的に外遊を続けているムハンマド皇太子(C)AFP=時事

 

 3週間にわたる訪米を終えたサウジアラビア(以下、サウジ)のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は、4月8日(日)にフランスに入り、その後スペインを訪問する予定となっている。

 米国入りする前、懸案の「サウジアラムコ」(以下、アラムコ)のIPO(新規株式公開)について、ニューヨーク上場のため「規制上の譲歩(regulatory concessions)」を求める意向だと伝えられていたが(2018年3月12日『Financial Times』「Saudi Aramco IPO delayed until 2019, UK officials told」)、具体的にどのような交渉があったのか、いっさい漏れてきていない。だが、2018年中の上場はあきらめ、早くても(あるいは、もしあるとしても)2019年にずれ込むことは間違いなさそうだ。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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