岩瀬昇のエネルギー通信 (43)

油価回復と通貨安で「絶好調」というロシア石油ガス産業の「将来不安」

執筆者:岩瀬昇 2018年6月6日
タグ: 国連 中国 ロシア
『フィナンシャル・タイムズ』に掲載されているグラフ(FTのHPより)

 

『フィナンシャル・タイムズ』(FT)のロシア及び中央アジア担当記者Henry Foyが、ロシア南部のヴォルシスキー(Volzhsky)という町にある鋼管製造メーカー「TMK」を訪問し、ロシアの最近の石油ガス産業に関する現況を報告している。

 筆者の勘違いでなければ、ここはヴォルゴグラード(かつてのスターリングラード)という大都市の近隣のはずだ。ヴォルゴグラードとは、ロシアの石油産業が現在のアゼルバイジャンの首都バクー近辺で勃興したとき、製造した灯油を樽(バレル)に詰め、カスピ海を船でヴォルガ川河口まで運び、そこで川を遡れる小船に積み替えて運んで来た町だ。ここから先は列車に積み替えて当時の首都だったペテルブルグ(現サンクトペテルブルグ)まで運送したのだった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top