岩瀬昇のエネルギー通信 (51)

実はクリーンではなかったという「メタンガス」漏洩の「不都合な真実」

執筆者:岩瀬昇 2018年6月26日
エリア: 北米
「民主党のせいだ!」とは言いそうな(C)AFP=時事

 

 米ドナルド・トランプ大統領は、この新しい調査結果も「フェイクニュースだ」と叫ぶのだろうか? あるいは、調査年が2015年だから、これは前オバマ政権の失政だ、とでも主張するのだろうか?

 立場はどうであれ、科学的事実は事実と認識し、その上でそれぞれの政治的立場から評価を行い、国民の利益になる対応策を打ち立てて実行するという「原則」を確認することが大事だ、と筆者は愚考するが如何なものであろうか。

 さて、今回ご紹介するのは、米国の石油ガス産業が事業遂行にあたり空気中に漏洩しているメタンガスの量は、米国政府の試算よりも60%多かった、という最新調査研究報告に関する『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の記事である。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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