岩瀬昇のエネルギー通信 (52)

米「イラン産原油輸入停止」要求で漁夫の利を得る「中国」

『BBC』HPより(図1)

 

 ドナルド・トランプ大統領が、本当に原油価格を引き下げたいと思っているなら、彼だけにできることが1つだけある。

 5月に表明したイランとの「核合意」離脱に伴うイラン原油の輸出禁止の手を少々緩めることだ。

 だが、トランプ大統領にとっては、国内の福音主義者やユダヤ系が、そしてイスラエルとサウジアラビア(以下、サウジ)が、強く望んでいるイランの「体制変更(regime change)」を目指す政策を優先させるだろうことは火をみるより明らかだ。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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