岩瀬昇のエネルギー通信 (57)

『フィナンシャル・タイムズ』が相次ぎ報じた石油価格に影響する4つの「長期的要因」

執筆者:岩瀬昇 2018年7月19日
4つの要因とは(FTサイトより)

 

 米ドナルド・トランプ大統領は独立記念日(7月4日)に「ガソリン価格上昇の犯人はOPEC(石油輸出国機構)だ」とツイートした。その直前には、サウジアラビアのサルマーン国王に電話して「増産を要請」し、「200万BD(バレル/日量)の増産に合意してくれた」と「希望的観測」をあたかも「合意事項」のようにツイートし、直後に国務省が慌てて軌道修正を余儀なくされてもいた。

 一方で、関係諸国に、イランに対して史上最強の経済制裁を課すために「11月4日までにイラン原油輸入をゼロにするように」要請して回り、「一切の猶予を与えない」と強く表明した。最近になって時間的猶予を与えるような発言もしているが、これらの発言は市場に大きな影響を与えている。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top