英国が「実行犯」特定「ロシア元スパイ親子」暗殺未遂事件の真相

執筆者:小泉悠 2018年8月1日
エリア: ヨーロッパ

 

テントの向こう側に親子が発見されたベンチがある(C)AFP=時事

 

 今年3月4日、英国のソールズベリーで起きた元ロシア情報機関員親子の暗殺未遂事件は、ロシアと欧州の緊張関係に新たな火種をもたらした。

 被害にあったセルゲイ・スクリパリはロシア軍の情報機関である参謀本部情報総局(GRU)の大佐であったが、英国の情報機関と内通するダブル・スパイとしても活動しており、ロシアで拘束されたのち、スパイ交換で2010年に米国に引き渡されていた(のちに英国へ亡命)。ちなみにこのとき交換されたのは、米国内で摘発されたロシア対外情報庁(SVR)のスパイ網で、その中には「美人すぎるスパイ」として有名なアンナ・チャップマンが含まれている。

カテゴリ: 社会 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
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