特集●アメリカ大統領選挙の見えない帰趨 壮大な宣伝戦を制するのはオバマかマケインか

執筆者:草生亜紀子 2008年10月号
エリア: 北米

[デンバー/セントポール発]「共和党の失政を続行するのか、それとも今こそ変革の時と考えるのか、選択肢はその二つである」と民主党オバマ陣営が訴えれば、共和党マケイン陣営は「奇策」ともいえる無名の女性州知事の副大統領候補への大抜擢で、「既存のワシントン政治を変革する実行力があるのは我らである」と迎え撃つ。 その結果が世界に多大な影響を及ぼすにもかかわらず、米国民にしか投票権のないアメリカ大統領選挙まで残すところ一カ月あまりとなり、両陣営の宣伝合戦は激しさを増している。 そう、この選挙戦は壮大な宣伝戦だ。労働者階層の心を掴むことを目標に、候補者についていかなるイメージを売り込むか、そして有権者はどのイメージに自分の未来を託し、一票を投じるか。重要なのは個別具体的な政策以上に、イメージだ。九月一日から四日まで開かれた共和党全国大会が、メキシコ湾岸に上陸したハリケーン「グスタフ」の進路を見ながら初日の日程を短縮したのも、「国家最優先」というマケイン陣営のスローガンをアピールするためのイメージ戦略に他ならない。

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執筆者プロフィール
草生亜紀子(くさおいあきこ) 翻訳・文筆業。NGO職員。産経新聞、The Japan Times記者を経て、新潮社入社。『フォーサイト』『考える人』編集部などを経て、現職。
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