もう一度「社会保障個人勘定」に注目せよ

執筆者:高橋洋一 2009年1月号
エリア: アジア

厚労省に任せていては、年金記録問題も、社会保障の不安そのものも解決しない。発想を変えれば、いい方法がある――。  年金記録問題の泥沼は続いている。消えた年金、消された年金、すぐ返らない年金。年金記録問題の完全解決にはこれから十年間くらいかかるだろう。  実は、社会保険庁の年金記録が杜撰であるのは政府内でかなり早くから知られていた。そこで、年金不信の払拭という大義名分で、経済財政諮問会議でも「社会保障個人勘定」の創設が議論されていた。年金・医療・介護・生活扶助の社会保障を個人単位の口座で総合的・一元的に管理した上、税金の支払いも統合できるため、トータルの給付と負担が明瞭になるのが社会保障個人勘定というシステムのアイディアだ。老後の不安をなくすことにつながる。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
高橋洋一(たかはしよういち) 1955年東京都生れ。東京大学理学部数学科、経済学部卒。80年大蔵省(現財務省)入省。小泉・安倍内閣で竹中平蔵大臣補佐官、内閣参事官として郵政民営化、特別会計改革、公務員制度改革などに関わる。2008年に退官。09年政策コンサルティング会社「政策工房」設立。『恐慌は日本の大チャンス』(講談社)、『さらば財務省!』(同、山本七平賞)など著書多数。著書に『官僚のレトリック』(新潮社)がある。
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