じわりと広がる保護主義の実態に目を凝らせ

「バイアメリカン」だけではない。守られない貿易協定に、企業支援という名の保護主義。放置すれば、世界はいずれ悲惨な事態に――。「世界中が押し黙ってしまった。いま大きな声で堂々と自由貿易を主張する人間は、世界で私一人だけになってしまったようだ」 二月二十四日、ジュネーブから急遽来日したWTO(世界貿易機関)のパスカル・ラミー事務局長は、そう言って苦笑いした。都内のホテルの一室。久しぶりに会った日本の友人を前に“自由貿易の番人”は、珍しく本音を口にした。「昨年秋のリーマン・ショック以来、通商の分野はとても静かになっている。怖くはありませんか?」

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