アジアの各地で企業と税務当局のトラブルが頻発している。原因は移転価格税制。国際ルールづくりを急がなければ、企業は泣き寝入りだ。 七月某日、都内で開かれた日本自動車工業会の委員会でのこと。会議が終わって散会となるや否や、経団連の関係者の席に、ある自動車メーカーの担当者が青い顔をして駆け寄ってきた。「当社のアジア現地法人がとんでもない事態に陥っています。窮地から抜け出す知恵を授けてください」 この自動車メーカーは、アジアの新興国の税務当局から執拗な追徴課税の要求を受けて苦悩していた。担当者の必死の形相に気圧されて、経団連の面々はタジタジだった。
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