ブックハンティング・クラシックス (55)

それでも魅力に溢れる「戦争写真家」の回想録

執筆者:中井良則 2009年11月号

『ちょっとピンぼけ』ロバート・キャパ著/川添浩史・井上清一訳文春文庫 1979年刊 ウォー・フォトグラファー、つまり「戦争写真家」と呼ばれることが本人の望みだったわけではあるまい。しかし、報道写真史上、初めてウォー・フォトグラファーとして扱われたのは彼だった。死んでから五十五年たったいまもウォー・フォトグラファーとして記憶される。写真という仕事はいくら有名でも映像だけが思い出に残り、撮った者の名前は忘れられる。だが、この写真家は例外だ。 ロバート・キャパ(一九一三―五四年)の四十年の人生は、二十世紀に誕生した新しい職業、ウォー・フォトグラファーの地位を確立した。

カテゴリ: カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top