行き先のない旅 (81)

ヨーロッパで定着する「ヨーロッパ以外」の健康法

執筆者:大野ゆり子 2010年2月号
エリア: ヨーロッパ

 肩こりは日本人に独特な症状で、「肩こり」に当たる外国語はない、という話を日本の本でたびたび読んだことがある。今まで新しい国に住むたびに聞いてみたが、そんなことはない。何人かの肩も触ってみたが、場合によってはごく普通の日本人より肩が凝っていた。肩を揉んであげると、皆、気持ちがいいと喜ぶ。肩がひどく凝っているのに、気がついていないらしい。 ただ、確かに肩こりという名詞はない。「肩が硬直している」とか「固い」という形容詞を使うのがほとんどで、肩が凝っていてもそれを揉みほぐす習慣がなく、日本の薬局で所狭しと並んでいる湿布薬や塗り薬もない。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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