80時間世界一周 (66)

エチオピアが拠点となるアフリカの金融ビジネス

執筆者:竹田いさみ 2010年2月号
エリア: アフリカ

 モカ・コーヒーの故郷エチオピアで、美味しいコーヒーが飲めるお店を捜し求めて辿り着いたのは、首都アディスアベバ市内にあるカフェだった。道路を挟んだ空き地には競り売りにかけられる山羊が群れており、異国情緒は満点。まるで映画の一コマを思わせた。 モカという冠は、アラビア半島南西部にあるイエメンのモカ港から積み出されたことに由来する。また、コーヒーはもともとイスラム教徒が夜間の勤行を助ける眠気覚ましとして使ったものであり、十五世紀初頭にはイエメンのモスク(イスラム寺院)で飲まれるようになっていた。 それならコーヒーの原産地はイエメンかといえば否である。それはエチオピアの高原地帯カファとされ、種や苗木が紅海を渡って対岸のモカ港に持ち込まれたと伝えられる。原産地の観点からみれば、モカ・コーヒーはエチオピア・コーヒーと呼ばれてしかるべきだと主張する向きもある。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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