絶好調の日立「総花経営」は開花したのか

執筆者:鍔本京吾 2010年11月25日
改革を進めた川村隆会長(左)と後任の中西宏明社長(c)時事
改革を進めた川村隆会長(左)と後任の中西宏明社長(c)時事

 日立製作所の今年4-9月期(連結)の好決算が産業界で大きな話題になっている。前年同期に1332億円の赤字だった最終損益が1580億円の黒字と急改善したからだ。上期決算としては20年ぶりに過去最高益を更新した。暗から明に、これほど劇的な業績改善を成し遂げた製造業も珍しいだろう。だが、本当に日立は復活したのか?

中国、インドで家電や電子部品の需要が回復

 業績改善の最大の要因は、新興国を中心とした様々な分野での需要回復。言うまでもなく牽引車になったのは中国、インドなどだ。両国ともインフラ工事用の建設機械が好調だったほか、自動車の電装品の需要が急増した。薄型テレビやDVDレコーダーなどのデジタル家電も新興市場で伸び、日立がグローバル市場で高いシェアを握るハードディスク・ドライブや電子部品の需要を押し上げた。デジタル家電は需要不振の目立つ日本国内でも「エコポイント」や来年に迫った地上波のデジタル移行が追い風となり、久しぶりに活気づいた。
 リーマンショック後の急激な需要落ち込みのあおりを受けた2009年4-9月期とは「グローバル市場が様変わりした」という電機メーカー関係者の言葉もうなずける内容だ。国内電機大手は東芝が4-9月期に最終損益が278億円の黒字と前年同期の577億円の赤字からV字回復したほか、ソニー、富士通も増益となった。同業他社も追い風を受けてはいるが、日立の回復が頭抜けているのは明らかだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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