朝鮮ナショナリズムを支える南北の濃い「同民族度」

執筆者:浅井信雄 2000年7月号
エリア: アジア

 歴史的な南北朝鮮首脳会談(二〇〇〇年六月)をめぐり、「平壌に着いてみればわが民族の土地だった」(南の金大中)、「われわれは同じ民族なのだ」(北の金正日)と、自明の言葉が飛びかった。同民族の絆をたたえる朝鮮ナショナリズムの高揚である。 米国中央情報局(CIA)の一九九九年七月現在の推定人口は、韓国四千六百八十八万四千八百人、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)二千百三十八万六千百九人である。南北を通じて住民の同質性は、世界的にも高いとされる。つまり「同民族度」が濃く、帰属意識を強く共有するわけだ。 朝鮮半島に人間が居住し始めたのは約五十万年前であると、発掘された旧石器時代の遺物によって推定されている。しかし、朝鮮半島の今日の住民の起源は彼らではなく、そのはるか後の新石器時代(紀元前四〇〇〇―三〇〇〇年)と推測されるが、確たる根拠は得られていない。

カテゴリ: カルチャー
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