饗宴外交の舞台裏 (35)

プーチン歓迎晩餐会が物語る「仏露の和解」

執筆者:西川恵 2000年11月号
エリア: ヨーロッパ

 ロシアのプーチン大統領が十月二十九日から十一月一日まで、欧州連合(EU)との定期首脳会議のためパリを訪問した。EU・ロシア定期首脳会議は毎年、行われているが、今年の最大の焦点はEU議長国であるフランスのシラク大統領との顔合わせだった。 プーチン大統領は今年五月に就任したが、その前月には早々と訪英してブレア首相と会談し、六月にはイタリア、ドイツなどを歴訪し、積極的な対欧州外交を展開してきた。ただフランスだけは訪問せず、シラク大統領の招待を無視し続けた。チェチェン紛争でロシアの武力行使が人権侵害を引き起こしていると、フランス政府が欧州各国のなかでひときわ声高に非難していることへの意趣返しだった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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