陳方安生政務官辞任で中国化が加速する香港

執筆者:竹岡亮 2001年3月号
タグ: 中国 香港 台湾
エリア: アジア

 中国への返還後も香港当局に残り、董建華行政長官に次ぐ存在だった陳方安生政務官が、四月末で辞任する。董長官の任期(五年間)が切れる二〇〇二年六月に合わせた退任予定を一年二カ月繰り上げて引退を表明したのだ。親英派の陳氏と親中派の董長官との確執は幾度も伝えられていたが、董氏の行政長官選再出馬がウワサされる中で、北京のお先棒を担ぐような“董再選選対委員長”にされるのはかなわないと感じたのが早期辞任表明の真相かもしれない。 記者会見の席上、陳政務官は董長官との不仲説を必死で否定して見せた。しかし、その心中には董氏への“抗議”が秘められていた。中国の銭其シン副首相は、昨秋に北京入りした陳氏に「もっと董長官への支持を盛り上げて欲しい」と異例とも言える“イエローカード”を突き付けた。面子を失った陳氏が辞任を決意したきっかけになったとも言われている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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