[パリ発]かつてマクルーハンは六〇年代にラジオを「ホットメディア」と規定した。フランスは、このいささか古いコンセプトを踏襲する見本のような国かもしれない。あれほどおしゃべり好きの国民が、ラジオにはじっと耳を傾ける。自己完結度の高いホットなおしゃべりに負けず劣らず、ラジオは映画と並ぶ聖域なのだ。 さて、時代は下り、サッカーの二〇〇二年ワールドカップ(W杯)開催が目前に迫った。前回の覇者フランスは連続優勝への期待に胸をふくらませているが、国内ではW杯を巡ってもう一つ別の戦いが熱を帯びてきた。フランスのある小さなラジオ局が、先頃破綻した独メディア大手キルヒから買い取った放送権をめぐって、ラジオ業界をあげて異議申し立てが行なわれているのだ。
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