「トルコか反体制派か」米国のジレンマ

執筆者:木辺秀行 2003年4月号

[ドバイ発]「勝利は詩のような甘さだ」。九日、イラク国境にも近いトルコ南東部の小都市シールトで実施された国会補欠選挙。公正発展党(AKP)のエルドアン党首は、こう皮肉ってみせた。 エルドアン党首は政教分離主義に反する詩を朗読して有罪判決を受けた経歴から議員資格がなく首相に就任できずにいた。このため昨年十一月の選挙で大勝したAKPはナンバー2のギュル氏を首相に起用。「二重権力」の状態だったが、国会は憲法改正でエルドアン氏の出馬を可能にし名実一体のエルドアン政権誕生に道を開いた。 だが、エルドアン氏の表情は満面の笑みとはいかない。直面する米軍の駐留承認問題は、久方ぶりに誕生したトルコ安定政権の命脈を断ち切りかねない難題だ。

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