エジプトの憂鬱

執筆者:村上大介 2003年5月号
エリア: アフリカ 中東

[カイロ発]「サダムのイラクを侵略から守れ、義勇兵を送れ、と叫んだイスラム原理主義者や民族主義者、左翼に誤った方向に導かれたカイロの人々は、いま愕然としている。フセイン政権の崩壊に対するバグダッドの人々の歓呼の声は、過去半世紀のアラブの文化、政治システム、そしてメディアを嘲笑した」 バグダッド陥落の翌日の汎アラブ有力紙『アッシャルクルアウサト』は早くも、イラク戦開戦後、いっそう反米感情を強めていたアラブ世論に冷水を浴びせかけるようなコラムを掲載した。この「愕然」という思いは、一部の宗教勢力や政治勢力の「扇動」に乗せられた人々に限らず、アラブ各国で多くの人々が抱いた感情であろう。

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