日本の特撮番組で大儲け。そのカネでドイツの民放を買った「わらしべ長者」は次に何を目指すのか。「メディア王」たちを情報・娯楽ビジネスに駆り立てるものは何なのか。一攫千金のカネか、それとも何百万の大衆に与える情報を握るという支配欲か……。ハイム・サバンに対しても、世間は次第にこの疑問を抱き始めている。「カネ」の面ではサバンはとっくに大成功を収めた。一九九〇年代に、日本の子供番組『恐竜戦隊ジュウレンジャー』などの戦隊シリーズを焼き直した『パワー・レンジャーズ』を自らプロデュース。マードックと共同出資した米国の子供向けケーブルテレビ、フォックス・ファミリーで放映して大ヒットさせ、実際には借金漬けだったこの局を二〇〇一年にウォルト・ディズニーに売却して十五億ドルを手にした。一九四四年にエジプト・アレキサンドリアの貧しいユダヤ人家庭に生まれ、音楽プロデューサーとしてイスラエル、フランスと渡り歩いた後、八三年にロサンゼルスに渡ったサバンは、渡米二十年足らずで破格の大成功を手にしたことになる。
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