「日興株は誰の手に渡るのか」――。このところ兜町の市場関係者たちが顔を合わせれば、必ずと言っていいほど出る話題である。 六月二十一日、米大手金融機関のシティグループは資本提携先である日興コーディアルグループへの出資比率を二一%から一二%に下げると発表した。出資比率引き下げに伴い、株式市場には約一億八千万株の日興株が放出される。また、日興は最大九千万株の自社株買いを実施して需給のバランスをとる。 注目されるのは日興がシティから市場経由で買い戻す格好となる、この九千万株の行方だ。日興関係者によれば、買い戻した自社株は消却するのでなく、いわゆる金庫株として自社で保有するという。いずれは最も高く買ってくれそうな金融機関に転売し、「シティよりも親密な、新たな業務パートナーを作るのではないか」(大手証券首脳)と囁かれているのだ。 シティによる日興への出資比率引き下げを、市場は当初、「日興が見放された」と受け止めた。それは出資比率引き下げの発表を受けて日興株が連日、急落したことからも見て取れよう。ただ、資本提携が始まった一九九八年当時のシティの出資比率は九・五%に過ぎない。それが二一%にまで高まったのは、二〇〇〇年春に日興の転換社債(CB)を転換してからだ。つまり、今回のシティの出資比率引き下げは、資金調達のための「CBの転換売り」という性格が強いと言えるだろう。日興経営陣も昨年夏ごろから「シティの出資比率は一〇%あれば十分」と周囲に漏らしており、売却はある程度予想していたことが窺える。

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