国旗国歌法の成立を機に、教育現場で「愛国心」が強制されるようになった。しかし、官僚的な押しつけで本当に「国を愛する心」は育まれるのか。東京都をはじめ全国で進む「教育正常化」を、保守の立場から批判する。 健全な自己愛を持たない者は、他者と良好な関係を築くことができない。親しくなるとむやみに依存し、避けられると一転して憎悪を向け、最悪の場合にはストーカーにさえなる。他者との適度な距離が保てないのだ。健全な郷土愛を持たない者もまた、他の地で暮らすのが上手くない。自分が生まれ育った地を愛さぬ者は、上京した途端に流行の衣装と情報で身を固め「東京人」になる。故郷の言葉を嫌悪し、そのくせ東京での暮らしが思わしくなくなると、途端に都会を非難し故郷に帰っていく。 これらと同様に健全な自国愛、すなわち愛国心を持たぬ者は、他国の人と良好な関係を築けない。外国人と接触した時に彼らが発症する「病」を我々はよく見聞きする。中国や韓国・朝鮮の視点からしか歴史を認識できず自国の近代史を断罪する者、欧米との経済慣行・社会風習の違いを我が国の後進性としか理解できない者……メディアにも身近にも大勢いるはずだ。そして彼らは小さなきっかけ一つで、手のひらを返して時代錯誤な国粋派へと変貌する。それが健全な自己愛を持たない者の病理だからである。

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