ロシアのプーチン政権が、来年五月九日の対独戦勝六十周年記念日を盛大に祝うため、五十カ国以上の首脳をモスクワに招くことを計画している。 ソ連解体で国家のアイデンティティーの多くを失ったロシアにとって、対独戦勝記念式典は国家をまとめる最大の行事。ナショナリズムの発揚とともに、高齢者や退役軍人への恩典廃止法成立で高まる不満を解消する狙いもある。 ロシア外務省高官によれば、G8(主要八カ国)、欧州連合(EU)、独立国家共同体(CIS)の首脳らを招く計画という。今年六月のノルマンディー上陸作戦六十周年式典に招かれ、感動したプーチン大統領の発案とされる。 敗戦国では、ドイツのシュレーダー首相が早々と出席を表明、独露蜜月をアピールしている。同じ敗戦国の日本は、ロシアとの平和条約が締結されていないだけに、小泉純一郎首相が出席するかどうか難しい判断を強いられよう。 対独戦勝三カ月後のソ連の対日参戦は、北方領土問題、シベリア抑留、残留孤児問題、朝鮮半島分断など多くの悲劇を招いた。しかし、日本だけ出席しない場合、国際的孤立を深めかねない。

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