七月下旬、ロンドンで英国在住のリビア出身ユダヤ人グループが開いた会合が中東専門家の関心を集めている。同グループが会合後の記者会見で「相互の利益と過去の嫌悪の忘却に立脚したユダヤ・アラブ・パートナーシップ」を訴えたためだ。 一九六九年のクーデター当時、リビアに住んでいたユダヤ人は六万人に上るとされる。その大部分が出国を余儀なくされたため、リビア政府は帰国を可能にする措置を講ずるべきだとの主張も打ち出された。 一方で、同会合に出席したイスラエル国会議員ジラ・ジャムリール氏が、リビアの独裁者カダフィ大佐も「リビア出身のユダヤ人が祖国を訪問できる許可をイスラエルは出してほしい」とアプローチしてきていると認めた。一部で報道されたリビアのユダヤ人受け入れ姿勢が再確認された形だ。 リビアは大量破壊兵器の開発・取得を断念した「モデル国家」として米ブッシュ政権との関係改善を進めている。カダフィ大佐には、次の一手としてイスラエルとの関係改善カードを切ることで、対リビア制裁の完全解除を狙う思惑があるようだ。

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