中・東欧諸国で、石油の産出地帯のカスピ海と消費地である欧州を結ぶパイプライン建設計画が相次いでいる。 計画は判明しているだけで六つ。まず、カスピ海からグルジアなどを経由してパイプラインで黒海に運び、黒海に面したルーマニアのコンスタンツァ港で陸揚げした石油をセルビア・モンテネグロ、クロアチアを経由してイタリアなど西欧諸国に運ぶルート。二〇〇七年にも送油を開始する計画だ。 さらに、ブルガリアのブルガス港からギリシャに抜けるルートが二〇〇七年に、同ブルガスからマケドニア経由でアルバニアに抜けるルートが二〇〇八年に、それぞれ完成を目指して準備中だ。 これら三つのルートは、カスピ海地域で産出される石油の欧州向け輸送の経由地であるロシアや、トルコ(ボスポラス海峡経由のタンカー輸送)を通らない、全く新しい経路の建設を目指している。政治面で先が読めない両国を迂回するメリットをアピールして送油量が増えれば、建設する国は精製事業などで利益を手にできる。 これに対し、ロシアは対抗する動きを始めている。まず、ロシアからウクライナなどを経てクロアチアに至るルートが二〇〇五年には完成予定で、ハンガリーの石油会社MOLなどが参加している。さらに、ロシアからウクライナを経てスロバキアまで走っているパイプラインを、ウィーン郊外のオーストリアの石油会社OMVの精製所まで延伸し西欧向けパイプラインに接続する計画で、二〇〇六年にも完成する見通しだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。