欧州最大の金融グループ英HSBCが業績を急拡大している。今年上半期の純利益は前年同期比五五%増の六十三億五千万ドル(約七千億円)、通期でも二年続けて過去最高益を更新する。「国際金融グループ」を名乗る銀行は数多いが、HSBCほど国際展開がバランスよく進んだ銀行はない。本部を構える英国を中心とした欧州市場、発祥の地である香港などアジア新興市場、そして米国。この三極から三分の一ずつ稼ぎ出す。八月六日には中国国有の中国交通銀行(上海市)に出資、中国市場に最大の橋頭堡を確保した。収益の六割を米国に依存している米シティグループと対照的に、HSBCの世界的な収益分散体制は業績安定に貢献している。 そんなHSBCにも「空白地帯」が残っている。「存在感が乏しい」と、グリーン最高経営責任者(CEO)が自ら認めている日本市場である。ROE(株主資本利益率)を重視するHSBCが狙いを定めたのは、利益率の高い日本の大手ノンバンクだ。 HSBCは現在、UFJグループ傘下の大手信販アプラス買収に動いている。シティグループや米GEキャピタル、あるいは米投資ファンドのローンスターなどと競り合い、最も好条件を提示した模様。

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