メーンバンクや主幹事証券が企業に対する助言能力を失う中で、企業側には不満が募っている。資本市場の「第三の主役」が担う役割は――。 八月上旬の段階でダイエーはUFJ銀行、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行の主力三行と再建案を巡り、ぎりぎりの攻防を続けている。産業再生機構の活用を求める主力三行の姿勢にダイエーが猛反発。「市場から広く再生計画を募りたい」として、国内外の投資ファンドに再建計画を含めた出資を求める奇策に出た。 ダイエーの意中のファンドは野村プリンシパル・ファイナンスだったという。野村プリンシパルは長崎のテーマパーク・ハウステンボスや、そごうと西武百貨店の持ち株会社ミレニアムリテイリングなど数々の大型再生案件に参加し、知名度を上げている。リップルウッドなど外国ファンドが再生ビジネスを牛耳るなかで気を吐くその姿は「日の丸ファンド」と形容され、ダイエー再建のスポンサーには適任と思われた。 しかし野村はダイエーからの非公式な打診を拒否。「まだ売っていない商品のリベートを前倒しで決算に計上するなど不透明な会計処理が多すぎて実態が分からないため、リスクが高い」と判断したようだ。 野村に代わって出資の最右翼に躍り出たのが、三菱自動車工業への出資で有名になったフェニックス・キャピタルだ。銀行団によるデット・エクイティ・スワップ(債務と株式の交換)と、優先株を組み合わせたスキームは三菱自工の時とほぼ同じ。関係者からは「安易な提案」との声もあがった。

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